バックナンバー
七面山別当より別当 内野 光智
精進の御山(みのぶ誌2021年1月号より)
 七面山山上より謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 昨年は年明けより断水・停電によりて御登詣の皆さまにご不便ご迷惑をお掛け致しました。
 冬場を何とか凌ぎ、さあ、これから!と意気込んだ矢先に新型コロナウイルスが蔓延し、人足が遠のき、目の前に現れるのは鹿ばかりの静かな御山の状況となりました。
 世界全体が大変な困難を抱え、誰しもが苦しく不便な毎日を過ごしているにもかかわず、御山は大丈夫ですか?お困りになっていませんか?と、大勢の皆様からお見舞いと励ましのお言葉をかけていただき、更には様々なご支援を賜り、お陰様で七面大明神はじめ山内の諸天善神に変わらぬお給仕を奉じることができましたこと、この場をお借りして篤く御礼申し上げる次第でございます。
 そんな中、長らく久遠寺にお預かりを頂いておりました4メートル四方の大きな板に描かれた赤い龍神様にご帰還をいただきました。敬慎院本殿の中に3日間、大工道具や材木、必要道具を並べての作業でしたのでいつものシーズンのように本殿がフル稼働している最中にはご帰還をいただくことが難しかったかもしれません。赤い龍神様ご自身がお帰りになられる時を決めておられたのでしょうし、御山にとっては大事な一歩を踏み出すことができ、困難な状況下ながらも大きな活力を与えて下さり、とてもありがたい機会を頂戴したと感謝に堪えないところであります。
 このような困難な時世であるからこそ、強盛な信心を出だし、七面大明神・諸天善神の御指導のもと、妙法蓮華経安楽行品第十四「常に忍辱を行じ一切を哀愍して 乃ち能く仏の讃めたもう所の経を演説す」の如く出家者としての使命に努め御山を護持し、一人でも多くの方の心が穏やかに、そして安穏な社会となるよう僅かでも寄与できるよう職員一同精進致しますので、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。