光明照世間
七面山別当より別当 小松 祐嗣
七面山報恩事業(みのぶ誌2024年7月号より)
 七面山は開創以来700年以上の歴史の中、登詣修行という姿を変える事なく、多くの法華経行者を迎えて参りました。七面大明神は今現在も変わる事なくこの霊域に鎮座し、その霊験を知るとも知らざるとも与え続けてくださっております。
 江戸初期、徳川家康公側室養珠院お万の方が女人禁制を解かれてより七面大明神の霊験は、全国に知れ渡ることとなりました。永きに亘る七面山の歴史は多くの先師、篤信者の尽力により整えられて参りました。中でも七面山本殿は約240年前に再建されたもので、初めて登られた方には驚きと感動を与えております。
 「七面造り」と呼ばれる本殿は奥殿・幣殿・拝殿からなり、遥拝所より下る階段の正面に見られる荘厳な檜皮葺の屋根は42年前に修復されてより年月を経るうち、強い日差し、風雨、積雪等の厳しい環境によって至る所で傷みがみられ、ところによっては檜皮がすでになくなっているところもあります。
 また、この壮大な本殿を支える土台・基礎も傷みが多く、一ノ池側にお堂全体が傾き、隙間の空いた窓から堂内には風が吹き、真冬には吹き込んだ雪が積もってしまうこともあります。
 この度、令和12年に養珠院お万の方生誕450年、令和13年には宗祖日蓮大聖人750遠忌を迎えるにあたり、七面大明神の御威光が永世に輝かんことを祈念して、本殿基礎修復・屋根改修報恩事業を発願いたしました。七面山にご縁を頂きました私共別当以下山務員一同、また七面山に現在お登りいただいておりますご信者様方、過去にお登りくださっていたご信者様方、そしていつの日かお登りくださる未信の方々全てが、これからの七面山の歴史を支える大きな礎となることと信じ疑いありません。社会状況の厳しい時世ではございますが、是非とも皆様方には七面大明神様の御威光を、後世に伝え残す御助力の程、心よりお願い申し上げます。