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育恩の峰より
奥之院思親閣別当 町田 英昭
平成から令和の時代 全ては小さな一歩から(みのぶ誌2019年12月号より)

 年末のご挨拶に先立ち、9月の台風15号、10月の16、19、21号によって、各地で多くの尊い人命が失われました。不幸にも、その犠牲となられた多くの皆様方のご冥福を、改めて申し上げますと共に、被災地の一日も早い復興と、苦しい生活を余儀なくされる方々のご健康を、育恩の峰よりお祈り申し上げます。
 早いもので、令和元年も残すところ一月間となりました。誌友の皆様方には、愈々ご健勝のことと存じます。
 さて17世紀の哲学者、パスカルの著書『パンセ』に「人間は考える葦である」と言う有名な言葉が有ります。この言葉は、人間は自然の中で、もっとも弱い一本の葦みたいなものだが、それは考えるという能力をもった、偉大な存在である事を顕した言葉です。
 言葉の如く、前述の災害を見た時に、人は一滴の水に生命を左右され自然の前には無力ですが、しかし知識や科学力、文明を持って克服して来ました。
 日蓮大聖人は「一滴の水が集まって川となり大海に注ぐように、一塵が積もって須弥山となる(『唱法華題目鈔』)」とご教示され、一滴の水の重み、小さな存在の重要性を示され、また般若経から出典の耳慣れた諺の「塵も積もれば山となる」が示すように、良い事も悪い事も、全てが小さなモノが終結して現れた結果なので「小事を疎かにしてはならない」と、戒めています。
 4月、令和の新しい元号が公布され、5月より改元施行されました。30有余年の平成時代、更には、令和元年を振り返りますと様々な事が御座いました。そして、それら全てが前述の一滴の水の結果で有ったと述懐します。
 誌友の皆様方には、決して小さな事柄も無駄にせず、素晴らしい令和2年を迎えられますよう、お祈り申し上げます。

合掌