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育恩の峰より
奥之院思親閣別当 町田 英昭
暦の上では春 待ち遠しい春暄(しゅんけん)(みのぶ誌2019年2月号より)

 寒さが大変に厳しい毎日が続きますが、誌友の皆様方にはいかがお過ごしでしょうか。
 2月4日は立春、暦の上では季節は春を迎えます。しかし古来より「暑さ寒さも彼岸まで」と言われ、本格的な春暖には程遠く、2月は平均気温が、1月に次いで寒さが厳しく、また降雪の心配も絶えない毎日が続きます。
 さて、自分の思いとは裏腹に、他人から感謝される処か、恨まれたり、危害を加えられた経験を持つ方は多いと思いますが「恩を仇で返す」とか「飼い犬に手を噛まれる」は、その最たる例えと言えると思います。
 日蓮聖人は、建長5年の立教開宗、また文応元年の立正安国論の建白に因って、町衆や鎌倉幕府から、種々の迫害を受ける事となりましたが、日蓮聖人は自身に害をなす人々を、一切衆生の恩として『四恩抄』中で述べています。
 幼少の頃「本より学文し候し事は、仏教を極めて仏になり、恩ある人をも助けんと思ふ(佐渡御勘気鈔)」の心中は、様々な迫害、法難を経て、謗法者の迫害を一切衆生の恩と受けとめられ、遂には「仏弟子は、必ず四恩を知って知恩報恩を報ずべし(開目抄)」の境地に至りました。
 奥之院思親閣は、殊に四恩中の「父母の恩」を垂訓する、大聖人信奉者の依所の一つです。
 昨今は、過ちを正したにも拘わらず、反対に「逆ギレ」現象となり、必ずしも善き行いが評価されず、自己の想いに相対する遺憾の念を抱く事も有りますが、そんな時に、日蓮聖人の「知恩報恩」の想いに立ち返り、生きて行く姿勢も必要かも知れません。
 今はまだ酷寒の季節ですが、間もなく訪れる春暄と同様に、裏腹な世の中が、希望に満ちた世界への維新に期待いたします。

合掌