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育恩の峰より
奥之院思親閣別当 佐藤 順行
目には見えなくとも(みのぶ誌2021年8月号より)

 都市部ではすでに7月にお盆を終えられた所もございます。全国的にはお盆といえばやはり8月という地域が多いのではないでしょうか。その由来については割愛致しますが、多くの方はご先祖様が帰られる日と認識されている事と思います。これまでに、「お上人、本当にご先祖様が帰ってくるの。そもそも幽霊なんて」と何度となく質問を頂きました。私のこれまでの経験上は、やはりおられる、戻ってこられると実感をしています。私には霊感と呼ばれる力はありません。ですが、ご祈祷やご供養中に数多くの不思議な体験をさせて頂いています。当初は驚きましたが、今では当たり前に受け入れられるようになりました。直接、姿を目にして話をするという事はありませんが、亡き父親から頂いたメッセージの体験を紹介します。その日は第1子の長女を連れて初めての家族旅行に出かけました。その晩、父が夢に現れ、「これからもお前達をずっと守る」と力強くも、にこやかに語りかけてくれたのです。目を覚ますと枕はびしょびしょに。普通に泣く以上に夢の中で私は涙していたのでした。それからしばらくして車を買い替える事になりました。納車された車のナンバーを見た私は思わず笑みが。そのナンバーは「113」。父は生前、七面山の別当職を務めさせて頂きましたが、その時の代は113代でありました。偶然と言ってしまえばそれまでです。ですが「俺は本当に守ってるよ」という、ふざける事が好きだった父親らしい表現だと思っています。又、母は運転中眠ってしまった際、大きなクラクションで起こされ危うく赤信号の交差点手前で停まりましたが、周りには1台の車もなかったそうです。これもまた父のご守護かもしれません。「仏法は三世に渡る」と申しますように、私達の命もまた、過去、現在、未来と繋がっています。仏様、神様と同じく目には見えませんが、時に霊山浄土から、時にはすぐそばでご先祖様も必ず私達を見守っておられます。