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育恩の峰より
奥之院思親閣別当 佐藤 順行
視点を変えて(みのぶ誌2020年11月号より)

 当初は開催も危ぶまれた9月12日の奥之院大祭龍口御法難会・疫病終息祈念法要でしたが、想定以上の大勢の皆様にご参拝を頂き、無事に円成する事が出来ました。ご参拝を頂いた皆様、特別回向・祈願をお申込み頂いた全国の皆様に改めましてお礼申し上げます。
 今なお多くの方々がコロナ禍で様々に辛い想いをされているのが現状であります。ですが、その中でも逆にプラスに働いた点も若干ながらあるのではないでしょうか。家族との時間が増えたり、これまでの日常や自分を取り巻く皆さんに感謝の気持ちをあらたにされたり等々。思親閣でも4月の別当交代以来、大変な中に於てもお越し下さる皆様にどうしたらこれまで以上にご参拝を楽しみ再訪頂けるか、山務員と意見を出し合いました。まず取り組んだのは拝観の改善です。これまではお開帳を受ける方しか堂内には入れず、それ以外の方は正面玄関よりお堂の一番外側の板張りの間に上がり、中を覗き込むようにしかお参りが出来ませんでした。今代は私達が勤行をする外陣まで入れるようにし、椅子を常設。ご自身で長時間お経をお唱えする方のご負担を緩和し、夕勤にも自由に参列頂ける様になりました。また控室も開放し、写経を自由に行って頂けるスペースを設けました。控室内には三十番神、お釈迦様の誕生佛がお祀りされており、こちらにもお参りが出来ます。ご朱印をお待ちの間、堂内を拝観頂くと、お開帳も受けてみたいとおっしゃって下さる方も出始めました。
 日蓮大聖人は御在世の折、病に苦しむ夫を持つ女性のご信者にお手紙を送られ「病によりて道心は起こり候か」としたためられました。病さえも仏様のお計らいと捉え、これを転機とし更なる強い信心を得る為の励ましのお言葉です。正にコロナ禍にある現代の私達への励ましのお言葉とも受け止められると思います。私達も少し視点を変えたなら、コロナ禍を転機とし、それぞれがより良きものを得られるのかもしれません。