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育恩の峰より
奥之院思親閣別当 佐藤 順行
ご供養のお山(みのぶ誌2020年8月号より)

 4月の就任以来コロナ禍真只中、早や4か月を迎えようとしております。ご参拝のお客様がほとんどお越しにならない中、執事、山務員と共に知恵を出し合い、今出来る事を行って参りました。出勤から下山までの間、交替で各お堂での読経、法楽祈祷。作業着を身に着け、傷んだ建物や諸設備の修繕。SNSを活用し、写経の募集、コロナ禍終息祈祷のライブ配信。葉書による文書伝道等。殊に読経につきましては、就任前より山務員には一遍でも多いお題目、一文字でも多い読経をお願いしておりましたので、かなりの数のお経をあげる事が出来ました。
 幸いだったのは大変な時乍らも、奥之院へと通じる身延山ロープウェイが一度も休業をされなかった事です。この間、少数ですが月参りの方、どうしても思親閣でご供養を行いたい方がお越しになり、ゆっくりとお話を伺う事も出来ました。皆様に共通して感じられたのは、ご供養をお伝えする霊位への強い感謝の御心であります。また、日蓮大聖人が亡きご両親、お師匠様へご供養を申し上げた同じ場所でご供養が出来る事が大変に有難く、大聖人を身近に感じられるとの事でした。皆様の篤いお気持に、やはりこのお山はご供養のお山であり、思親閣は感謝の心を育む事が出来る、特別な場所なのだという想いを新たにしました。
 私は修行中の学生時代から別当就任まで数人の恩師より同じお言葉を頂きました。「身延山には生きている方だけではなく、亡くなった方も数えきれない精霊が救いを求めに、今もお祖師様のもとに来ているよ。だから我々が沢山、お題目、お経をあげなきゃいけないんだよ」。このお言葉を胸に今代に於いては、思親閣にて更なる唱題、読経に努めて参る所存です。大聖人、身延山に集われる諸天善神のお力が一層増され、過去、現在、未来に亘り共に救われる事を願ってやみません。まもなく8月のお盆が参ります。ご先祖様、有縁無縁の万霊にお題目で感謝の御心をご一緒に捧げましょう。