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育恩の峰より
奥之院思親閣別当 望月 海俊
衆流あつまりて大海となる(みのぶ誌2015年4月号より)

 身延の桜が人々を和ませる時節となり、山頂にての読経中に頬をなでる風光にも、春を感じるようになりました。
 ふと、「父母の墓をも見よかしと深く思うゆへに、今に生国へはいたらねども、さすがに恋しくて、吹く風の東と申せば、庵をでて、庭に立ちてみるなり」(光日房御書)の一節が頭をよぎり、いささかなりとも大聖人の御心に触れた思いです。これも、大聖人がたたずまれた聖地であるが故の賜といえましょう。
 さて、新年度、新たな生活を始められる方が多い時です。私がまだ中学生の頃、当時はレコードでしたが、さだまさしさんの歌う「案山子」という曲の「元気でいるか、町には慣れたか、友達できたか、寂しかないか、お金はあるか、今度いつ帰る……」の一節が心に染みた事を思い出します。よその町へ行った子供を案じて、一言一句でも、便りや声を聞きたい親心が彷彿されます。
 今は携帯電話が当たり前で、メールやラインの利用により、距離感や寂しさを感じることが減っています。同時にこの安易さは、常に誰かと繋がっていないと寂しくて不安という病を引き起こしています。しかし、利便性の良い時代であればこそ、相手を思いやる温かな心が働きだすという尊さを、改めて思い出したいものです。
 思親閣の報恩浄行「母への手紙」の募集を開始致しました。感謝を伝えたいという、皆様のひと葉、ひと葉の音信(恩心)が、知恩報恩の大海となり、世の中が穏やかに潤うことを願うところであります。

 追記 妙蓮尊尼遠忌に向け、ご両親のご尊容を親しく拝して頂きたく前方へ遷座しました。内拝開扉式の折り、ご焼香下さいますようご案内申し上げます。
 詳しくは思親閣迄お問い合わせ下さい。