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育恩の峰より
奥之院思親閣別当 望月 海俊
いのちと申す物は一切の財の中に第一の財なり(みのぶ誌2014年12月号より)

 師走。「僧がお経をあげるために、東西を馳せる」・「師が馳せる」と平安時代の書物(色葉字類抄)に説明があり、語源のひとつになっています。僧に限らずこの時期は、年内に片付けたいことが沢山ある上に、日の短いことが余計に市井の人々を気ぜわしくさせます。このような時こそ、あえて落ち着く時間を持ちたいものです。
 さて、本年も実に色々なことがありました。特に、広島土砂災害並びに御嶽山の噴火において、尊い命が失われたことは心の痛むところであります。思親閣においても、朝夕の勤行にて供養しておりますが、命のはかなさと、今ある尊さを思わずにはいられません。
 また、当院と深く関わる会社に勤め、当代思親閣を全面的に支援協力し、嬉々と職務に励まれた某氏の急逝は、別当として痛恨の極みでありました。
 このようなつらさ哀しみは、思親閣にて大聖人とともにお題目を唱え、供養されます参詣者の背中にも見て取れます。と同時に、哀しみの意味を考え、哀しみを生きる力に変えるお力を頂いているようにも窺えます。
 「生きる」、これはとても大変なことであることは事実です。しかし、それ自体が尊い恩返しであり役目であることを決して忘れてはならないと思います。
 ある歌手の歌う歌詞に、「生きてりゃ明日はきっとくる」とありました。命とは最初に与えられた贈り物です。生きていればこそ、の大事を慎んで思念したいものです。
 当年4月、別当職を拝命着任以来、ご厚誼賜りましたこと誌面を借り御礼申し上げ、併せ明年のご清祥を祈念いたします。

合掌

追記 大雪により倒壊破損しました水屋、敷石の修復に着手致します。皆様のご協力を切にお願い申し上げます。詳しくは思親閣迄問い合わせ下さい。
0556(62)0686