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育恩の峰より
奥之院思親閣別当 池上 玄裕
功徳聚の砌なり(みのぶ誌2013年6月号より)

 日蓮聖人は9か年御隠棲の地であるここ身延山を「彼の月氏の霊鷲山は本朝此の身延の嶺也」と現在の富士宮市の南條兵衛という大檀越の一人にお手紙を書き述べております。
 また身延期に書かれたいくつかのお手紙の中にも「仏菩薩の住み給う功徳聚の砌也」「天竺の霊山此の処に来れり。唐土の天台山まのあたりにここに見る」と書き表しております。天竺の霊山とは現在のインドの霊鷲山のことであり、天台山とは現在の中国のお山であり、天台大師智によって開かれたお山です。つまりはインドの霊鷲山、中国の天台山にも負けない場所ですよと多くの信者様方にお伝えになられております。
 思親閣でお開帳の際もこの『南條兵衛七郎御返事』の中の「霊山の教主釈迦、宝浄世界の多宝如来、十方分身の諸仏、本化の大士、迹化の大菩薩、梵、釈、竜神、十羅刹女も定めて此の砌におわしますらん」の一節をお唱えさせていただき、この上ない功徳が満ち溢れている場所ですよと申し述べさせて頂いております。なぜなら日蓮聖人があしかけ9年に亘り読み上げた法華経とお題目の功徳が「虚空にも余りあるほどに積もっているからだ」と申しており「此の砌に望まん輩は、無始の罪障忽ちに消滅し、三業の悪転じて三徳を成ぜん」と、この身延山に来て一心に法華経を読み、お題目をお唱えした人は過去の罪障も消え、生まれ変わった身体になり、三徳(実相、智慧、悟り)を体得することが出来るのです、と書かれております。
 このような大変尊いお山ですので、御遺言の波木井殿御報に「いづくにて死候とも、墓をばみのぶ沢にせさせ候べく候」と、墓所は必ず身延の沢に建てて欲しいと懇願しております。
 このように身延山は昔からありがたい御利益の大きいお山です。
 御参拝お待ち申し上げます。