お膝元を歩く「木で作れないものは無い」。そう力強く語るのは「木工房淳司」を営む依田修さん。他の工房で断られた難儀な仕事も引き受ける「最後の砦」として、多くの依頼を受けている。依田さんは早川町赤沢の出身。大工の家系ではなかったが、彫刻に造詣が深かった親類の影響で木工に興味を持ち、十八歳で富士市の木工所に就職。そこでは神輿や寺社の彫刻を中心に製作していた。その後、過疎化が進む故郷・赤沢の現状を変えたいという思いから、三十歳で独立を決意。生まれ育った実家の一角に工房を構えた。以来、その卓越した技術は評判を呼び、注文が途切れたことは一度もないという。現在は、子息と孫と、親子三代で工房を切り盛りしている。主な業務は、寺院の宮殿や仏具の製作・修復である。過去には七面山敬慎院の宮殿を、また現在は奥之院思親閣の宮殿の修復も手がけている。さらに茶器やスプーンといった一般向けの食器等も製作しており、その丁寧な仕事は多くの人から高い評価を得ている。 本文読み上げ木木工工房房淳淳司司
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