meishoemaki2512
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甲州身延名所絵巻延山周辺に、その妙音によって一日の始まりと夜の訪れを告げているのが「大鐘」です。身延山には現在「大鐘」「時鐘」と、大型の梵鐘が二口あります。「時鐘」は伊予国松山藩藩主の松平定頼公の正室、養仙院の寄進とされており、字の如く時を知らせるために撞かれていたため、古くは「十二辰(時)鐘」と呼ばれていたと言います。「大鐘」は寛永元年(一六二四年)に鋳造されました。江戸時代、道順という修行僧が身延山久遠寺への梵鐘の寄進を発願し、資金調達のために諸国を巡っていましたが、途中で命尽きてしまいます。この話を聞いて彼の志を受け継いだのが、法華経の熱心な信者であり、身延山第二十世心性院日遠上人に深く帰依をしていた、徳川家康公の側室養珠院お万の方です。「大鐘」はお万の方一人の力で寄進され、道順の悲願を果たされたと伝えられています。その後、寛文十三年(一六七三)には大鐘楼が建立されました。以本文読み上げ身   

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