meishoemaki2507
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甲州身延名所絵巻※か つて、日本各地には「檀林」と呼ばれる僧侶のための教育機関がありました。身延山には、弘治二年(一五五六)に第十四世善学院日鏡上人によって創始された学室「善学院」を源流とする「西谷檀林」があり、明治七年(一八七四)の閉鎖に至るまでの約三百年間、優秀な僧侶を多く輩出したといいます。昭和十二年、その跡地に建立されたのが「日蓮宗信行道場」です。ここでは日蓮宗僧侶の資格を得るために必ず修めなければならない修行の道場が、年に数回開設されています。さて「西谷檀林」には「柿の葉の書籍」とよばれる伝説が伝わっています。ある日、能化(先生)が寮内を見回ると、寿文という学僧の部屋で一匹の大きな狐が昼寝をしているのを見つけました。実は寿文は、法華経を学びたいがために学僧の姿に化けた狐だったのです。寿文は身上が明らかになってしまった事は自分の不覚であったことを泣きながら悔い、檀林を後にすることにしますが、能化や学友たちへのお礼として「畜生が※「寿文」の読み方は諸説あります。本文読み上げ

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