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育恩の峰より
奥之院思親閣別当 望月 海俊
其雨普等 四方俱下 流澍無量 率土充洽(みのぶ誌2015年6月号より)

 思親閣は、雲や霧のかかりやすい標高地にあるため、仏具、建物、電化製品等が湿気の影響を受け、経年劣化の進行が早いことが悩みの一つです。ことに梅雨の時節を迎えて、一層の湿気に悩まされるところですが、「その雨、普等にして四方に下り、流澍すること無量にして、率土充ち洽う。」(薬草喩品)のごとく、慈雨を必要とするものに思いを馳せています。
 さて、過日境内で弱った青い鳥を見つけたと、参詣者が届けて下さいました。国指定天然記念物のブッポウソウかと思われたのですが、オオルリの幼鳥でした。身延山周辺はかつて、全国有数のブッポウソウ繁殖地だったそうです。また「仏法僧」と鳴く鳥が、実は別ものとわかったのは80年前とのこと。以後、声のブッポウソウと姿のブッポウソウという表現がされています。
 自身を省みて、声(発言)と姿(行為)、さらに心を合わせた身口意の三業に、仏法僧を表わさねばと思うところです。ところで、声のブッポウソウの正体はコノハズク、俗称ミミズクです。このミミズクにまつわるお話があります。
 病気の母を看病する娘がいました。その家は貧乏で薬を買うことが出来ず、ひたすら鬼子母神に平癒を願いました。ある晩に鬼子母神が枕元に現れて、「すすきみみずく」の作り方を教え、娘はそれを売り薬代を得た、と。東京は雑司ヶ谷の鬼子母神堂に伝わる話です。その親孝行の気持ちと行為を讃え、地元の小学校では、すすきみみずくをかたどった校章を用いているそうです。
 二宮金次郎像が学校から消えていると感じる昨今、孝行や勤勉という徳の継承のためにも、日蓮大聖人の孝心を謹んで広め、知恩報恩の徳育と致したく存じます。

合掌

 追記 日蓮聖人御母、妙蓮尊尼750遠忌報恩「母への手紙」を募集しております。感謝の思いを思親閣迄お寄せ下さい。
 問い合わせ:0556−62−0686